すべてが溶けてしまえば好い。
輪郭なんてなくなってしまえば好い。

世界もあなたも僕も
空想も思想も思惟も自我も
ぜんぶぜんぶぜんぶ。

なくなってしまえば好い。のに。

(嗚呼でもそうしたらどうやって触れ合おう)

しゃぼん玉がはじけて消えるみたく消えてしまいたいよ。
拝啓 

お元気ですか?
あなたにこんなことを言うのはどうかと思うけど、これしかことばが思いつかなかったので、元気?ってたづねてみます。
高校を卒業して、多分きっと最後に会ったとき、僕はいつもの癖で「またね」って言ったはず。またね、元気でね、頑張ってね、別れのことばには大抵、果敢ない祈りが込められてるからね。
結局それ以来会うこともなく、今こうして手紙なんて書いている訳だけど、これって届くかなあ。どっかで読めてる?感想頂戴とは云わないけど、読んで呉れたら好いのにな、とは思うよ。

まあ、どっちでも好いや。

あれだ。不思議なことにというか当然のこととして、というか未だ僕はあなたの存在が消失した、という実感が湧きません。
僕等未だ若いし。四半世紀も生きてないし。
十年後とかにどっかそこらへん、たとえばそうだな、ふと思い立って出掛けてみたちいさなパン屋さんとかでまた出会えそうな、なんとなくそんな気がする。有り得ないことだけど。その有り得ない、って云うのが不思議だわ。ほんと。

ね、僕さ、まあ十年後は無理だとしてもたとえば百年後とか二百年後とかに生まれ変わった時、もっと有り得る線で行けば僕が死んで、ひょっこり霊界とか天国だとか輪廻の途中だとか(あんまし詳しくないからわかんないんだけど)そういうところで何年か何十年か後、もしかしたら三日後とかにあなたに出会った時、ひとつ聞いてみたいんだよね。
ねえ、一番最後に見た景色はどうだった?
うつくしかった?哀しかった?それとも悲惨だった?って。

どうなんだろう。
僕が好きだったあなたの感性で、ゆっくり考えるように大切に生み出されるあなた自身のことばで、是非答えを聞いてみたいよ。

悠久なる時の流れからしたら僕等の一生なんてちっぽけなものです。
そのうち、二度三度、或いは気の遠くなるほど幾度ものの生を経てまた出会えたら今度は遊園地にでも行って遊びましょう。
そうしてソフトクリームとか瓶入りのラムネとか、子供じみたでも奇妙に愉快な気分になれる、行楽地的享楽、を与えてくれる身体に悪そうなものでも食べましょう。

随分と取り留めのない手紙になってしまいましたが。
何時もそんな会話ばかりしていたし、構わないよね。

それではまた。どうぞお元気で。

 

ラブレタ

2007年4月10日 雑記
大切なひとたちを、好きなひとたちを、愛してるひとを、僕のちからじゃとてもじゃないけどしあわせになんてきっとできない。
できないけど、でも大切だから、好きだから、愛してるから、お願いだからどうかしあわせになって欲しいって思う。

しあわせにするよ、なんておこがましくて言えない。
そんな大それたことは僕の手に余る。
でもやっぱり願っちゃうから、言葉にしない言葉で(それでもきっと滲んでるんだろう)そっと祈るよ。

僕は僕のエゴで祈るから
君は君の自由でしあわせになって。

君をしあわせにできるひと。
あなたを、憎みながら賞賛します。
あなたに、嫉妬しながら感謝します。

ねえ。
苦しめるくらいなら
すこしでも負担になるくらいなら。
要らない要らない要らない要らない。

この腕も喉も心臓も
君を疲れさせるだけなら棄ててしまって好い。

そろそろ卒業するべきなんだね。
多分
留まっていたいって願うのはもう無駄なんだ。

然様なら。
この何年か、心から有難う。
何時か君が僕を思い出したら、その時にまた出会いましょう。

愛しているよ。
遠い東京より、君のいる何処かへ。

 
ぼんやりとしたひかり。
うるさいくらい響くサティのピアノ曲。
散らばった歌集。詩集。小説。
読みもされないまま積んだ新聞。
ひんやりとした空気。

純粋培養された  は次第に増殖してゆく。
わたしはそれを無視してサティの甘い旋律に蝕まれながらあたまの中にひどくぼんやりと緩慢な空白をつくりだす。

蛍光灯のあかるさは無機的なくせにまれに恐ろしいほどグロテスクで
それがあまりにも気持ちが悪かったから
子供じみているとわかっていたけど衝動にまかせて叩き割った。
さっきまでひかりを供給していたそれはあっけないほど簡単に粉々になって、一瞬でただのゴミに変化した。

天気予報がのたまうに今日の天気は晴れらしい。
雨が降ろうと曇っていようとどうせ家からでないのであまり興味はない。
いっそ雪が降れば窓から見える景色もかわるのだろうけれど。

へヴィシロップ漬けのチェリーはたべると指先がべたべたする。
コーラとオレンジジュースの混ざった液体はなんだか薬品くさい。

このまま眠り続けてしまえたら好いのに。
世界が終わるまで、ずっと眠っていられたら好いのに。

 
ゆたゆたしてる作品。

出会いと、別れと、記憶。
冒頭の一文で、この本を読んだ価値があったなあ。

ひとは、一度であったひとと二度と別れることはない。

そんな感じだった気がする。

記憶に纏わる描写が結構多くて、ひとつひとつが丁寧。
パイロットフィッシュ、って響きが好いな。

 
Oh, I think youre standing
On my left foot
Its hurting, but thats ok
Cause Im in your way

Youll break that foot that
Youre standing on
Ill walk with the other one

Do what you want to do what you want to
Be what you want to be what you want to
Go on and step on me

Youre free to have everything
You can see, all that you want from me
Free to be all that you want to be
Do what you want with me

Oh, I think youre spinning
Inside my head
I think of you all the day
Cause youre in my way

Oh, I think youre holding
The heart of mine
Squeeze it apart, thats fine
Go ahead and step on me

〈The Cardigans/Step on me〉

ねえ、僕の左足の上
君は立っている気がするんだ
痛いけど、でも構わないよ
だって僕が君の前にいるんだ

君はきっと僕のこの足を駄目にするだろうけど
でも僕はもう片方の足で歩くさ

したいことをしてよ
したいことをしてよ

望むように在ってよ
望むように在ってよ

ゆきなよ、
そうして僕を踏んでいってよ

自由にすべてを手に入れられる
すべて見られる
君が僕に望むものすべて

自由に、望むままに在ってよ
僕を望むようにしてよ

ねえ、君は僕のあたまのなかに
蜘蛛の巣みたく糸を吐いてやしないかい
僕は一日中君のことを考えてる
だって君が僕の前にいるんだ

ねえ、君は僕のこころを抱きしめてやしないかい
そうしてそれをばらばらにするんだ
でも構わない、それで好いんだ

ゆきなよ、
そうして僕を踏んでいってよ
使ってるワックスのにおいが嫌い。
ナポリタンのにおいが嫌い。
カルバンクライン、エタニティフォーメンのにおいが嫌い。

嫌い、嫌い、嫌い。

ねえ、なんでこんなに不愉快に満ちてるんだ?


好きなものだけに囲まれて
死んでゆくのが理想。

それが駄目ならせめて、においだけでも。

そう思って、何時も何時も
出掛ける前にはヴィヴィアンウエストウッドのブドワールをうすくつけるのです。

 

碧空

2007年2月19日 雑記
あをぞらの向うで君が笑つた。


雨の後。
透明な雫。乱反射して拡散してゆくひかり。
透き通った空気。

あまりに綺麗で
一瞬呼吸が止まるかと思った。


―― 今見たいもの。世界。世界全部。


ひかりに透ける具合だとか
光線のつくりだす虹色だとか。

トン、って背中を叩かれた気がして泣きたくなったよ。

優しいのにつめたい。
残酷なのに綺麗で、これじゃあまるで夢だな。
それもとびきり上等な。


A:到達するまであとどれくらいかかるのかい?

B:斯う綺羅綺羅してちゃあさうですねえやつぱり半刻程は。

A:…。

B:其れでもゆきますかい?



ああ、なんか寝て起きたらこんな時間。

冬合宿の用意しなきゃ!

 

日常

2007年2月11日 ことば
君の描く世界は嘘みたいに綺麗で、
透き通ったその世界の中僕はゆるゆると沈殿してゆく。

「ねえ、ヨウイチ。土曜日って眠くならん?」

さっきまで机に向かって
(おそらく明々後日提出らしいレポートを書いていたのだろう)
黙々と資料をめくっていたヒナがくるり、と椅子ごと回転してこちらを向く。
普段はコンタクトレンズをいれているおおきな瞳は眼鏡のレンズ越し、すこし小さく見える。

「…ならん」

紅茶に大量のコンデンスミルクとウォッカを入れた飲み物を時々かき混ぜながら飲んでいた僕はソファの上、三秒だけ考えた後に答えた。

ここにくる度に思う。この家のソファは快適だ。
色彩というものの殆どないこの部屋の中であざやかなブルーだけが際立っていてとてもうつくしい。

窓から見える景色は昼下がりの惰性に支配されている。

「ふうん」

僕の答えに不服とも満足ともとれないような反応を返し
ヒナはおおよそ三時間ほど座っていたその椅子と机の前から移動した。
白いコットンシャツに黒のジーンズ。
素足の爪に塗られたブルーのペディキュアがすこし剥がれかかっている。

「土曜日よりも、水曜日の方が眠たい」

キチンでお湯を沸かすヒナの背中は肩甲骨がうっすらと透けていて
短く切りそろえられた黒髪とうなじの白さがとても愛おしい。
ケトルのたてるけたたましい音と湯気を確認してインスタントのコーヒを溶かす動作を眺めながらふとそんなことを思う。

「水曜日?」

「そ、水曜日」

溶かしたばかりのブラックコーヒを持ってキチンから戻ってくるヒナのためにすこしばかりずれてソファをあけたけれど、ヒナはそこへは座らず僕のあしもとに直接腰を下ろす。
どうやらレポートはひと段落したらしい。

それきり喋る気配の無い僕等のあいだには沈黙が落ちるけれど
けして居心地の悪いものではなく、寧ろ心地好い種類の沈黙だったのでどちらも口を開かなかった。

今日は水曜日でも土曜日でもない。
眠たくもなければ眠たくなくもない。

しばらく黙ったまま各々カップに満たされていた液体をゆっくりと嚥下する。
僕のあまったるい紅茶は(ヒナはそれを悪趣味だと言ってけして飲もうとしない)もう随分と冷めていたけれど
舌のうえに残るあまさと薄いアルコールは悪くない味だと思う。

「…さんぽ」

「ん?」

「散歩、してくる」

カップに残ったコーヒーを勢いよく飲みほしたヒナがまるで宣言でもするように、それでも不思議と静かな声で言った。
言ったそばから立ち上がりキチンにカップを片付け、ジャケットを羽織る。

こういうときに、一緒にいこう、といわないところがとても好きだ。

「いってらっさい」

ポケットに財布と煙草をいれて、深くて綺麗な藍色をしたあたたかそうなマフラを巻くヒナに
相変わらずソファに座ったままで声をかけた。

「いってきます」

マーチンのブーツを履きながらすこしだけ振り向いてかすかに微笑んだその笑顔に、ひらひらと手を振って僕もにっこり笑う。
ぎいいっという音をたてて一度ひらいたドアーが閉まりヒナの姿を飲み込んだのを確認してから笑顔を引っ込め、僕はその居心地の好いソファから漸く立ち上がった。

「土曜日は眠たい…ねえ」

先ほどのヒナの発言をなんとなく口の中で転がしてみて
ほんじつ三杯目のあまったるい飲みものをつくるため、キチンへとむかうのだ。

 

ねえ

2007年2月5日
大切なひとたちの中
ふと触れた誰かの中
尖らせた指先で爪跡だけ残してさよなら。

それだけで消えれたら好い。
そう云う生き方をしたい。

かたちでなんて残らないで
色で、音で、文字でなんて残さないで
褪せてしまう、薄れてしまう、希釈されてしまう
冷凍保存なんてされたくない。
ねえ、僕等は刹那を重ねるしか生きる術が無いんだよ。

最初から消えるもので残すのが僕等、丁度好い。

あなたの残した痛みと傷跡は
もう疾うの昔に消えてしまったけれど。
あまい幸福だけは残っているよ。

きっとずっと
こうしてやわらかな中毒で、ゆるゆると窒息してゆくんだ。



(ねえ、やっぱりさ、僕等、死にたくなったりするけども 何の因果か此処迄歩いて来てしまって、こうして息をしているけれど でもね、たまに思うんだよ あなたが、僕が望むのは、一体何なんだろう、って。)

嗚呼。
何時か何時か。

わたしが     て、そうして    る。

そんなことがあるやも知れないね。

 
深夜三時半過ぎに鳴った電話は
大好きな大好きなあの仔からで
そんなこと滅多に無い(てゆっか初めて!)からびっくりした。

いきなり
俺が死んだらどうする、だなんて。ねえ。
全く以って相変わらず。

笑いながら、それはちょっと困るなあ、なんて云ったら
含み笑いで困るか、って云って呉れたので
うん、多分正解。

そりゃ、困るサ。
未だ青髪のボブも見てない、東京に泊まりにもきて呉れてない
そんな状況で死なれちゃったら途方に暮れるしかないじゃあないか。
あなたみたいなひとに、簡単に出逢えるなんて思っちゃいないよ。
代わりなんて、要らないし。ね。

それにしても狂った生活リズムと体内時計は
やっぱり戻さないでおきます。
もう二度とないかもしれない電話のためだけって馬鹿げてるけど
でもまあ彼女等に対して馬鹿なのはみんな知ってるので
どうってことありません。手遅れだもんな。

今日はなに喋ったっけなあ。
高校時代と変わらない、くだらない話。
愛妾、暴力行為、微生物、進化過程、欠落と超越、葬儀、ペット。
キャバクラだとかデリヘルだとかメイドだとか、
寿命だとかドモホルンリンクルだとか曲がり角の話だとか。
或いは誰かに刺されるような人生を送りたい、だとか。

書き出すと、ほんと取り留めないな。

お互い、ハタチ、という響きに慄いて
なんでこんなに生き延びているんだろう、って不思議でした。

そうだ。
駄目人間がひとりいたら、それを三点から支えて呉れる真人間が
多分必要とされているし、実際存在している気がする、って話。

僕等、
お互い支え合ったらきっと其の侭ゆっくりと、でも確実に倒れるね、って
なんだか酷く愉快そうに笑ったなあ。
それもまた一興。

これまでの数年間と、この先、死ぬまでの残り数年間、
僕の存在は彼女にとって何になるのかな。

わからないけど
あの瞬間、僕との電話でほんのすこしだけでも
あの仔のさみしさが緩くなれば好い。
そう思いました。

そういや普段は『わたし』を使っているのに
ふとした瞬間『俺』になっていて、それがなんだか無性に懐かしかった。
この間会った時はずっとわたし、だったからかな。

翻って僕は、あの仔の存在ひとつでこんなに救われてる。
果たしてそれを知ってるのかなあ。
知ってるんだろうな、でもきっとそ知らぬ顔で笑うんだ。

今日またひとつ増えた約束は、何時叶うとも知れないもので
(叶えたい、とお互い思っているのかも不明。お互い笑って機会があったら、だなんて。実際の処お酒と勢いがないと実現しないような、存外簡単に叶ってしまうようなそんな気がする。その上どちらが強く望んでいるのかすら、不明。僕は、あの仔は、果たして望んでる?)
けれど約束がある間はお互いそうそう簡単には居なくなれないから
僕等は未来を拘束する振りをして現在を拘束しています。
自ら望んで手首を差し出す。

この姿勢を不自然だと、卑猥だと、反吐が出ると、云うひともいるけど
残念ながら僕等はこう云うかたちでしか交錯できない、
そうして他の方法を模索するつもりもないので
暫くはこのままゆくんだろうと思います。末期患者だな。

まったく違う新しい環境で、
変化するんじゃあないかって不安がなかったわけでもないけど
やっぱり僕等は変われなかった、変わらなかった訳で。
うん、そうだなあ。
なんだろう、ああもう仕方ないよね、って。
何はともあれ、結局このひとことに集約されます。

『     !』

さーて、なにが入るかな。(隠す必要あるっけ)

 

グノシエンヌ

2007年1月8日 ことば
ぼんやりとした不安
攪拌される脳髄
空気に溶けるのは空想

ああ違う
きっと此処に溶けるのは貴方

あたたかい空調
ふたりの匂い
流れるエリックサティのピアノ

まだらな密度がからみついて
息が巧くできない

不安を煽るグノシエンヌ
第一番
第二番
第三番

続いてゆく
続いてゆく

性的なにおいのするこの部屋で
窒息してしまえたらしあわせなのに
ねむいねむり
 
 
 
 
 
 

いちにち
20時間 くらい
眠ってます

泥のよう
生温い

半分意識ない ような
覚醒してるのか
寝てるのか
で サティ なんぞかけてるものだから
ああもう ぐるぐるぐる

そのうち 起きます
多分 きっと 何れ

夢のなか
こんな ひと xxx!!
 

つめたい

2007年1月6日 雑記
レイン レイン レイン

冬の雨はただただつめたくて
息をするたびその破片を吸い込むものだから
喉を通った肺の奥で沈殿してゆく凍ってゆく
お陰で声も出やしない。

こんなに痛切なのってはじめてみたい。

記録

夜想耽美展
ともさん
松井冬子
楠本まき
山本タカト

キリストン
かおるちん
あかねちん

いち兄

カッター
チーム介抱
膝枕
ジージョ
寛さん
知らない女の子
救急車

記録と記憶は違うもので
たとえば
肩を抱いたときてのひらで感じた細い骨だとか
救急車の担架だとか
まるで年下みたいに笑う表情だとか
酔ったカップルだとか
結構鮮明に記憶していても
きっと抜けてしまうのだろうなあ。

昨日はたのしかったです。
また会いたいな、って思えるひとたちがこんなにたくさん。
しあわせ!
 
 

マラケシュ

2007年1月2日 ことば
ってどこにあるんだろう。
砂漠の向こう側。遠い遠い異国。

僕はマラケシュよりもボスニアヘルツェゴビナで夕焼けを見たいです。
響きが好き。
ボスニアヘルツェゴビナのゆうやけ。
なんだか、いろいろな余地のある言葉だと思う。

マラケシュの理由は今日読んでいた本。
中山可穂の「マラケシュ心中」
ベッドのなかの読書、ってとても贅沢な時間だなあ。

その小説の中からひとつ。

『教会にひかりあまねくさんざめく
 神よあなたは貞淑ですか』

なんだか堪らなくなってしまう。

短歌って文化のある日本に生まれて
言葉好きとして育ってよかったなって思う瞬間。

ちなみに俳句よりも短歌のほうが好きです。

『あの夏の数限りない君になら
 殺されたって好いと思った』

これを初めて知ったとき、ほんと慄然。
枡野浩一(だったっけ?)って歌人さんがバトルロワイヤルを読んだときの歌なのだけれど。
こんな短い言葉の中に、どれだけのものが詰め込まれているんだろうって、なんというか、絶望に近い気持ちを味わった覚えがあるな。

このひとの歌は当たり外れがあれど、本として見ると面白い本をだしているひとだと思う。うん。
高校の同級生に一度プレゼントしたことがあったような。
誰だっけ…うーん?あ、シュンだ。彼女は元気かしらね。

なんかなんかなんか。
そう、ええとええと、あのね。
誰かに話したい。
こういう感覚とか、洞察とか、思索とか。
そんな衝動に駆られてる日。

ま、嘘だけど。嘘じゃあないけど。(どっちだ)



さて。もうひとつだけ中山可穂の小説から引用しておしまい。
これ、ビアンのお話なのだけれどさ。
うーん。まあこういう形もありますね、と。
ちょっと感慨深い気分にさせられるフレーズ。お手紙。

『恋がいつか必ず終わるものなら、わたしたちは恋人同士になるのはやめましょう。何も契らず、何も約束せず、からだに触れ合わず、それゆえに嫉妬もない、いかなるときも自由で、平明で、対等な関係のまま、いつまでも離れずに、この世で最も美しい友になりましょう』
 
 

はじまり。

2007年1月1日 雑記
一年の。
今年は何を見るんだろうなあ。


そういえば今日、久々に再会した従姉妹に
「東京のひとってこんな感じなんだね」って言われて
それはどうかと思いました。
でもとりあえづ、そうだね、って言っておいた。
どうやら東京に対するイメージがより遠いものとなったみたいです。
うーむ。善いのか悪いのか。

まあ、とりあえづ。
実家にいるので煙草吸えないので、健全にお風呂にでもはいろう。
今日は六時間くらいお風呂場で過ごしました。水棲生物!



はじまりの日は終わるけれど
それでも続いてゆくのが日常です。

そのなかでどれだけ限界に近付けるかが勝負だと思っているので
今年も僕は性懲りもなくいろいろやらかし続けようと思います。

ではみなさま御機嫌よう。(年始らしく締めてみた)
 
 
 

風の強い日

2006年12月30日 雑記
浸蝕する日射
馴染まない空
黒衣の葬列を眺めながらうたうカノン

錯乱したウサギが羊ヶ丘で見る景色
input
output
疾うに発車時刻は過ぎている


さあ還ろう

黒猫のニヒルな笑みにしかたなくうなづく少年の網膜に焼き付いた残像みたいな夕焼けを見て堪らなく悲しくなったよ、と
うつくしい髪をした彼女は笑いながら云うのだ


はい。
僕の今年はそんな感じ。
なんかいろいろ通り抜けていったなあ。
でもやっぱり未だ足りない。
もっともっともっと。

見たいし
知りたいし
届かせたい。

世界は狭すぎるのにそれでも足りないや。

来年もこんな調子でゆくのかなあ。
できればもうすこし、強靭になれたらよい。そう願います。

さて。
ようやく実家に戻ってきたのだけれど。
親孝行の一貫でほんじつ黒髪日和。
ひっさびさにまっくろけ。
黒髪の魅力再確認。
うー、年明けたら何色にしよっかな。
なんか迷うぞ。
 
 
 

透明人間

2006年12月24日 雑記
日曜の午後。
電車、ひかり、窓の外。
随分茫っとしながら眺めていました。

あー、あたまのなかに指先突っ込んで整理できないかな。
余計ぐちゃぐちゃになるかしら。

たまに、たまに。
牧歌的なしあわせ、にひどく憬れてしまう。
憧憬。

ひるさがりのまどろみみたいなしあわせ。

僕の今立っている場所はまるで箱庭みたいで
充足するだけのものは揃っているし満ち足りるて眠ることもできる。
あたたかいひかりと平穏な湿度。
空腹を満たすパンと退屈を紛らわす活字。
終わりもはじまりもなくて、ずっと完結したまま続いてゆく感じ。

勿論それが嫌なのじゃなくて
寧ろ肌に馴染んだ空気はやわらかくて居心地が好いのだけれど。

たとえば擦れ違った瞬間
たとえばわらい声が聞こえた瞬間
たとえば慈しむ視線に気付いた瞬間

見えない窓から見えた気がしたパステルカラーの景色に
飲み込まれてしまう瞬間ってあるんだよね。
息を呑んで、指先で堪えるのだけれど。

『僕ら、こうしたまましづかに狂ってゆくのだろうね』

またあの子の声が聞こえた気がして、笑ってしまったよ。
クリスマスだっていうのになあ。



さてさてさて、お部屋片付けなきゃ。

クリスマス会なのに全然片付いてない!
エアコンのリモコンは何処いっちゃったんだろ。
凍死しちゃうよ。
 
 
たっばっこー
たっばっこー

たらった。

タールニコチン。
あまい毒ってまさにこのこと。

血液に肺に沈殿してゆく有害成分と
その分だけ甘い香りとフィルタ。
視界に霞がかかるのが好き。
軽い眩暈であたまが目覚めるのがわかる。
浴槽、エコーする声、反響する水音。
朝から二時間。
まるで水棲生物だ、と云われていたのを思い出してしまった。

朝食はグレープフルーツとお水とスパサラダ。
飲み易くなった薬を流し込んでひといき。
ケミカル、という言葉が好き。

ああなんだか茫っとする。

偶然見つけた煙草バトム。

Q1:煙草を吸い始めたきっかけは?

◎なんとなく。興味関心、かなあ。

Q2:貴方の吸っている煙草の銘柄は?

◎今はガラムのスーリヤマイルドとブラックデビルのピンクローズ。

Q3:着火具は主に何を使いますか?

◎燐寸。でも屋外とか支障のある場所だとライタ。

Q4:こだわりのある火の点け方はありますか?

◎燐寸。あの燃える匂いが好き。

Q5:こだわりのある吸い方はありますか?

◎こだわり、でもないけれど結構早く火を消しちゃう。
 あ、火は丁寧に消そうと心掛ける。ぐちゃぐちゃするのやだ。

Q6:初めて煙草を吸った時の感想は?

◎ふぅん、こんなもんか。

Q7:ここで吸う煙草は最高だ。ずばり、その場所は?

◎喫茶店。しづかでちょっとレトロな感じの。
 或いはお外。場所じゃなくてひとりでふらふらしながら。

Q8:煙草が一番美味しいと感じる季節は?

◎断然冬。冬の歩き煙草が好きすぎる。指先凍るけど。

Q9:煙草が一番美味しいと感じる時は?

◎ううーん。やっぱり禁煙明け。笑

Q10:煙草と飲食物を組み合わせるとしたら?

◎珈琲とかチョコレイト系で強めのお酒。
 甘いミルクティとかカフェオレとかホットココアとか。
 食べ物…はあんまし合わないかな。
 これは多分吸ってる煙草自体があまいからだと思う。

Q11:煙草に纏わる思い出を教えて下さい。

◎一昨日火傷しました。ちょっとひりひりして痛い。

Q12:最後に、貴方にとって煙草とは?

◎暇潰し。散歩の友。眠気覚まし。

次にバトンを回す喫煙者5人

◎喫煙者のイアエスタ様。お暇でしたらどぞ。


◎ ◎ ◎

反抗期、と笑って逸らす余裕
思春期、と笑って許す余地

翻って考えて
遡って了解して

夜が怖かったのは疾うの昔で
今怖いのは   。
大人になれば怖いものが消えるだなんて幻想で
長く生きれば生きるほど怖いものが増えてゆくじゃない。

嗚ー呼ー。
視えなきゃ好いのに。
聴けなきゃ好いのに。
(でもそうしたらあなたの顔を見ることもできないしあなたと歌うこともあなたの声を聴くこともできないねそれはすこし嫌だな)

ねえもう直ぐ明日になるよ。
 
 
 

背骨

2006年12月18日 雑記
わざわざハイコツ、と読んでみたら
なんだかガイコツ、に似ていた。
ころんって転がっている白くてすべすべしているイメージ。

この二日間。

考えたり実感したり感慨深くなったり
眠ったり起きたりまどろんだり
結論は相変わらずだったり出なかったり。
そんなこんな。

自分を卑怯だと揶喩して笑う彼女に
なんであなたを愛しちゃったのかなあなんてすこしばかり大袈裟に嘆くふりをして、けれどそのあまりの馬鹿馬鹿しさにひとりで笑ってしまった。

メール越しに見える呆れたような笑いかただとか
端正に尖らされた爪と細くてつめたい指だとか
随分伸びたというやわらかな髪だとか。
そりゃ、男も引っ掛かるよなあ。

僕と彼女が恋をすることはけしてない(と思う。すくなくとも今のところ可能性はからきしない)けれど、やっぱり高校時代彼女に出会ってしまったことは僕の人生で最大に幸福で不幸なことだとも思う。
あんなに圧倒的なのだもの、中毒死しないのが不思議なくらい。
既にお互い自家中毒なものだから、同じ毒をとっくの昔から呷っていたとも云えるのだけれど。
だから平気だったのか、だから正気じゃあいられなかったのか。

まあそれもこれも運命だ。
我乍ら、強運に凶運。


あー、なんだか。こんなことを書いていたらあれですね。
停滞している。
もうずっとなのはわかっているのだけれど。
何処にもゆきたくないのに景色ばかりがうごくから
目と耳をふさいで反響させて、夢うつつばかり。

最近目をつむるとまぶたの裏に砂嵐が見えます。
しかも灰色。灰色の世界に灰色の砂嵐。
ざらざらして、奇妙に不快でなまあたたかくて、茫漠としている感じ。
たまに思うのだけれど、これは僕の目を通してほかのひとにも見えるのじゃあないだろうか。光の加減や角度で、思わぬ瞬間に。
身体の中に抱えている景色。それって誰にでもありますよね。
ならば角膜はモニタ?

…覚束無いなあ。いろいろ。
以下、別の処で書いているの引用。多分三ヶ月前くらい。

わたしたちは目を通して外界を見ているわけだけれども、さて果して其れは本当に見たままの姿をして居るかと問われたら誰だって確証は無くて、其れは自分に都合の好い情報だけを拾って処理して居るとか或いは聴覚で云う相手の声が大きく聴こえて居るだとかそう云う生態レヴェルの話ではなく、ただ単純にわたしたちはわたしたちの内部を見て生きて居るのではないのか、と云う問いに過ぎ無い。外界を映している眼球はけれど内側を視ているのじゃあないだろうか。例えば悴んだ指先のつめたさを自分の皮膚で感じて居る様に。
泣きたくなるよ、本当に。

このあと泣いたのかは覚えていないけれど。
まあしょっちゅう泣きたくなったり笑いたくなったり、強くなったような気分になったり弱くなったりしているので、そうめづらしいことでもないか。

とりあえづ、今僕のあたまのなか目下最大の問題は
お部屋の片付け。
だそうです。(なにそれ
 
 
 

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